リフォーム費用はいったいいくらが妥当?
もしかして悪徳業者に騙されている?

リフォームをするときの大きな問題の一つが費用でしょう。最大の問題と言って良いかもしれません。ここでは業者への連絡から契約に至るまでの過程にそって、費用と見積もりについて説明します。

リフォームを契約するまでの流れ

リフォーム業者を決めて連絡を取ると、じきに見積もりのために訪問したいということになるでしょう。これを現地調査といいます。その結果を踏まえてリフォームプランと見積もり提案が出てきます。その内容に納得すれば契約という流れになります。

現地調査

電話でもメールでもウェブページからの申込みでも、何らかの形でリフォーム業者にリフォームを依頼したいという連絡を取ると、すぐに折り返しの連絡があると思います。その場ですぐか、資料送付や相談会のようなものを挟むかは業者の営業方針次第ですが、どの業者であってもどこかのタイミングであなたの家を実際に訪問するアポイントを求めてくると思います。これが現地調査です。リフォームの見積もりでは実際に現場を見てみないとリフォームに係る工数や建材の量が判明しないために行われます。ここで、施主からのヒアリング、現場の状態確認、写真撮影、採寸などが行われます。

キッチンの現地調査のチェックポイント

1. キッチンのサイズの計測
2. 給排水の確認
3. 換気設備の確認
4. 電気機器の増設・変更
5. オープンキッチンにする場合の確認
6. マンションの場合の確認

浴室の現地調査のチェックポイント

1. 搬出入経路の確認
2. 浴室のサイズ計測
3. 給排水の確認
4. 設備関係の確認
5. 劣化状況の確認
6. バリアフリー化する場合の確認

トイレの現地調査のチェックポイント

1. 便器のサイズ・位置の確認
2. 給排水設備の確認
3. 室内の寸法
4. 室内設備の確認
5. 内装材の確認
6. バリアフリー化する場合の確認

外壁の現地調査のチェックポイント

1. 外壁の状態確認
2. 住宅の構造確認
3. 壁面の状態確認
4. 作業準備場所の確認
5. 工事査定のための確認
6. 工事作業日程の確認

現地調査で注意すべきポイント

現地調査では建物の原状を確認するとともに、実物を目の前にして顧客の要望をヒアリングすることで具体的な提案内容を詰めていきます。ですので、できるだけリフォームの内容に決定権を持っている人が現地調査に立ち会うことを推奨します。そうでないと、ある場所について「家族と相談してみます」ではその部分の見積もりが出ず二度手間になってしまいます。

相見積もりについて

見積もりと費用を考えるときの肝がここです。また、リフォームに係るトラブルの多くがこの相見積もりによって生じています。相見積もりをうまくやることこそが、業者選びのコツであると言えます。

丸投げ+最安値はトラブルのもと

リフォームで起こるトラブルの多くがこれに起因しています。どのようなリフォームがしたいのかについて家族全員でイメージを統一するといった準備をせずに、ただ業者を呼びつけて相見積もりをさせて、一番安い業者を金額だけで選ぶ。これでトラブルにならないほうがおかしいです。
そもそもの話として、建設業界は会社が専門化・細分化され、元請けと下請け・孫請けという構造になっています。原価は設備費と人件費ですのでどの会社もそれほど変わりません。ですから各社とも見積もり価格は似通ってきますし、差がつくとすれば元請け・下請け・孫請けの間のマージンということになります。この仕組みの業界で他社と比較して極端に安いというのは、手抜き工事をされる可能性があります。また相見積もりで競合をちらつかせて値引きを促すのは、手抜き工事を誘発するという意味で得策ではありません。

相見積もりは比較と説明のため

入札のように最安値を選ばないのならばなんのために相見積もりをするのかというと、一つは相場を知るためです。施主はほとんどの場合リフォームの相場などは分かりません。浴室をユニットバスに取り替えるのに何日ぐらいかかるのか、何人ぐらいの人が動くのかなど、普通は知りません。相見積もりをとると、おおよその相場が分かります。これによって全く相場観が分からないという事態を回避できるので、自信がつきますし、余裕ができることで、リフォーム業者に対して無闇矢鱈に猜疑心だけで立ち向かうということを避けることができます。

相見積もりのもう一つの役割はリフォーム業者に説明をしてもらうためです。リフォームについての説明を読むとどこも「疑問点は質問をしましょう。不明点や不安点があれば必ず質問をしましょう。その返答の誠実さで業者を判断しましょう」といいます。言っていることは正しいのですが、実行するのは難しいです。なぜならこちらはリフォームのことについて何も知らず向こうはプロだからです。気後れもするし、何から聞いたらいいかわからない、というのが本当のところでしょう。しかし相見積があれば業者間で値段の違う項目が出てくるので、そこについてなぜなのか説明を求めればよいのです。そして価格が高い理由が不鮮明であったり、低い理由が不明瞭だったりすれば、これはあやしいということになりますし、高いにせよ安いにせよ明白な理由があり、それをちゃんと説明してくれる業者は誠実な業者だと思って良いでしょう。

相見積もりは嫌がられるのではないか?

これを心配する人もいるでしょう。それにこれは、ある種の精神的な逃げでもあります。複数の業者に相見積もりを取るということは、現場調査に何度も来てもらわなければいけません。それは実際に面倒だし、知らない人を家にあげてその知らない人は自分よりも知識があって、大きなお金が動くプレッシャーがあってとなってくると、精神的にはかなりしんどい。だからその前の内覧会などの営業段階で「この人はいい人だ。いい人に違いない」と心の底で思いたがってしまうのです。親身になって話を聞いてくれる相談員や営業担当者の話し方が親切だったからこの会社はいいところに違いない。そんないい人に相見積もりを取るなんて言って嫌われたくない、この人はいい人なのだからこの人に嫌われないように振る舞うほうが得策だ、という心理です。
気持ちはわかりますが、やはりこれは退嬰的だと思います。確かに相見積もりをとると言われていい気分のする人はいません。しかし相見積もりだからといって現地調査を断るような業者は、最初から相手にしなくてもよいのです。その「足切り」のためにも相見積もりは取るべきです。
しかし、相見積もりの目的は、最安値を出した業者を選ぶためでも、値下げ交渉を優位に運ぶためにするわけでもないことには今一度ご注意ください。また相見積もりを取る際は、それぞれの業者にその旨をちゃんと伝えるべきでしょう。

契約

見積もりを検討した結果が出たら、契約ということになります。
契約してしまうと支払い義務が発生します。そして契約の後に後から追加請求をされるということもありますし、トラブルにもなります。だから慎重になるべきところです。

まずは、原則として納得しなければ契約する必要がないということを思い出しましょう。説明を聞いて現地調査に来てもらって相見積もりをとって、と時間と接触を積み重ねるほどに契約を断るのは気が引けるし面倒にもなります。「きっと大丈夫に違いない」と思いたくなってきます。しかしここは気を引き締めて、納得いくまで説明を求めましょう。見積もりの後、現場をみながら見積内容を業者に説明してもらい、工事内容と見積額を精査しましょう。

また、リフォームというのはその特質上追加工事が避けられない場合があります。見た目で判断しにくい壁や床の中でよく起こります。床を剥がしたら土台が腐っていた、壁を壊したら柱が腐っていたというのはよくある話です。ですから、追加工事イコールリフォーム会社に騙されたというわけではないのです。しかし悪徳業者はここで難癖をつけて漬け込んでくるのも確かです。ですから、現地調査のときに、見積もりのときに、見積もりの後の現場での説明のときに、「追加工事はありそうですか」と聞きましょう。そしてその答えをしっかり観察しましょう。